褒め言葉を力に変える!自己肯定感を高める言葉の受け止め方
「すごいですね」「〇〇さんのおかげで助かりました」
職場やプライベートで褒められた際、素直に「ありがとう」と受け止められていますか?
多くの人が、褒め言葉に対して謙遜したり、「いえいえ、大したことありません」と否定したりする傾向があるかもしれません。もちろん、謙虚さは大切な美徳の一つです。しかし、せっかくのポジティブな言葉を適切に受け止められないと、自己肯定感を育む機会を逃してしまうことにつながる場合もあります。
この記事では、褒め言葉を「言葉の栄養」としてしっかりと受け止め、自己肯定感に繋げるための言葉の使い方について解説します。
なぜ、褒め言葉を素直に受け止めにくいのか?
褒められた時に、以下のような反応をしてしまうことはないでしょうか。
- 「いえ、そんなことありません」「たまたまです」と否定する
- 「誰でもできます」「皆さんのおかげです」と自分だけの手柄ではないことを強調する
- 照れ隠しで話題を逸らしたり、冗談でごまかしたりする
このような反応の背景には、幼い頃からの謙遜を重んじる文化や、「調子に乗ってはいけない」といった無意識のブレーキ、あるいは自分自身の評価が低いこと(自己肯定感の低さ)など、様々な要因が考えられます。
しかし、褒め言葉を否定的な言葉で返してしまうことは、せっかく外から届けられたポジティブな評価やエネルギーを、自ら跳ね返している状態とも言えます。これは、自分自身の良い部分や努力を認め、肯定感を高めるチャンスを無にしてしまう可能性があるのです。
褒め言葉が自己肯定感に繋がるメカニズム
褒め言葉は、単なる社交辞令ではなく、自己肯定感を育む上で非常に重要な「言葉の栄養」となり得ます。
褒め言葉を受け止めると、脳にはポジティブな刺激が伝わります。「自分は認められている」「自分の行動には価値がある」という感覚が生まれ、自己イメージが肯定的なものへと更新されていきます。
これは、心理学で言う「自己肯定感」の構成要素である、「自分には価値がある」「自分はできる」という感覚を直接的に養うプロセスです。褒め言葉を素直に受け止めることで、外部からのポジティブな評価を内面化し、揺るぎない自信へと繋げることができると考えられます。
褒め言葉を力に変える!言葉の受け止め方・実践例
では、具体的にどのように言葉で受け止めれば良いのでしょうか。謙遜の心を保ちつつ、自己肯定感を育む受け止め方の例をいくつかご紹介します。
基本的な「受け止め言葉」
- 「ありがとうございます。」
- 最もシンプルで、どんな褒め言葉にも使える万能な返答です。感謝の気持ちを素直に伝えることで、相手にも好印象を与え、自分自身もポジティブな言葉を発することができます。
- 「嬉しいです。」
- 褒められたことに対する純粋な感情を表現する言葉です。この一言があるだけで、褒めてくれた相手は「褒めてよかったな」と感じやすくなります。
- 「励みになります。」
- 今後のモチベーションに繋がることを伝える言葉です。これは、自分の努力や成果が認められたことへの喜びと、それを今後のエネルギーにする意思を示すポジティブな受け止め方です。
一歩進んだ「付け加え言葉」
上記の基本的な言葉に、状況に応じて少し言葉を付け加えることで、より丁寧に、かつ具体的に褒め言葉を受け止めることができます。
- 「ありがとうございます。そう言っていただけると、努力した甲斐があります。」
- 成果だけでなく、そこに至るまでのプロセスにも目を向け、自分の努力を肯定的に捉え直すことができます。
- 「嬉しいです!〇〇さんのおかげで、滞りなく進めることができました。」
- 他者の協力があった場合には、感謝を伝えることで、チームワークを大切にする姿勢を示しつつ、自分自身の貢献も否定せずに受け止めることができます。これは、自分の役割や貢献を正当に評価することにも繋がります。
- 「ありがとうございます。以前〇〇さんからいただいたアドバイスを参考にしたら、上手くいきました。」
- 他者からの学びやサポートを具体的に挙げつつ感謝を伝えることで、謙虚さと成長意欲を示すことができます。同時に、学んだことを活かせた自分を肯定することにもなります。
【NG例とOK例の比較】
| シチュエーション | NGな受け止め方(例) | OKな受け止め方(例) | ポジティブな効果 | | :-------------------------------------- | :--------------------------------------- | :---------------------------------------------------- | :------------------------------------------------- | | 仕事の成果を褒められた時 | 「いえいえ、たいしたことないです。」 | 「ありがとうございます。〇〇の点が評価されて嬉しいです。」 | 自分の成果を具体的に認識し、肯定感に繋がる。 | | アイデアや工夫を褒められた時 | 「思いつきでやっただけです。」 | 「嬉しいです。以前から試してみたかったんです。」 | 自分の発想力や意欲を認め、今後の自信に繋がる。 | | 人柄や対応を褒められた時 | 「とんでもないです。」 | 「ありがとうございます。そう言っていただけて光栄です。」 | 自分自身の人間性や対人スキルを肯定的に捉える。 | | プレゼンや発表を褒められた時 | 「緊張してボロボロでした。」 | 「ありがとうございます。準備に時間をかけた甲斐がありました。」 | 努力プロセスを肯定し、次の挑戦への意欲を高める。 |
これらの例はあくまで一例です。大切なのは、反射的に否定するのではなく、一度言葉を受け止め、「ありがとうございます」「嬉しいです」といった感謝や喜びの言葉を最初に伝えることです。その上で、もし可能であれば、具体的な感想や今後の意欲などを付け加えてみましょう。
褒め言葉を「言葉の栄養」として蓄える習慣
褒め言葉を自己肯定感に繋げるためには、意識的に「受け止める」習慣をつけることが重要です。
- まずは「ありがとう」から始める: どんな褒め言葉に対しても、反射的に「ありがとう」と言う練習をしてみましょう。これだけでも、ポジティブな言葉を受け入れる扉が開きます。
- 褒め言葉を「リフレーミング」する: もし「こんな程度で褒められるなんて、まだまだだな」のようにネガティブに捉えそうになったら、「いや、でも〇〇さんが良いと言ってくれたのだから、その点は良かったのかもしれない」のように、言葉の意味をポジティブな側面から捉え直してみましょう。
- 言葉を記録してみる: 褒められた言葉や、それに対して自分がどのように受け止めたかを簡単にメモしておくのも効果的です。見返すことで、自分が認められているという事実を再確認できます。
- 小さな褒め言葉も見逃さない: 同僚からのちょっとした感謝や、家族からのねぎらいなど、大きな賞賛だけでなく、日常に溢れる小さなポジティブな言葉にも耳を傾けてみましょう。
まとめ
褒め言葉を素直に受け止めることは、自己肯定感を育むための強力な方法の一つです。反射的な謙遜や否定ではなく、「ありがとうございます」「嬉しいです」といったポジティブな言葉で受け止める習慣をつけることで、外部からの評価を自身の自信へと繋げることができます。
言葉の受け止め方を変えることは、自己イメージをポジティブに更新し、日々の業務や人間関係における前向きな姿勢を育むことにも繋がります。今日から意識して、褒め言葉をあなたの「言葉の栄養」として取り入れてみてはいかがでしょうか。